灼熱


とある小説を
読んでいたのだが…

『熱いもの』

という表現が目に付いた。
それは…
熱い男たちが
新たなビジネスシステムの
構築を画策する
【熱い話】なのだが…
そんな熱い物語だけに
『熱いもの』は…
むしろ鼻に付いたw


「たま男は、胸の奥から熱いものが
こみ上げてくるのを感じた!」

あるいは

「たま男の目頭から
熱いものが溢れてきた…」

などである。

この
『熱いもの』とは
一体何か?

『熱いもの』と聞いて…
まず思いつくのは饂飩である。

「たま男は、
胸の奥からウドンが
こみ上げてくるのを感じた…」

う〜む…
これじゃ
ただの酔っ払いだwww

それじゃあ
ラーメンならどうか
という話でもなさそうだ。

「たま男の目頭から…
ラーメンが溢れてきた…
煮卵の眼球には
ナルトのコンタクトレンズ…」

わけがわからない。

ただ…確かに
たま男の身体の内から
『熱いもの』が発生し
あわよくば体外に
放出されようと
しているのは事実だ!

人体の大半を
占めているのは…
水分である。
ははぁ!なるほど…

「たま男は、
胸の奥から熱湯が
こみ上げてくるのを感じた!」

たま男が
電気ポットであるならば納得がいくが…
小説中に、彼に
コンセントが付いていたという情報も
記載されてはいない。

他にも、湯豆腐とか
ゴビ砂漠やらマグマだの…
考えてみたのだが
どうもしっくり来ない。
従って、私は
こう結論することにした…

【熱いもの】は『熱いもの』である!

英語に直すと

「Somethinghot is onlysomething hot」

だ。

『熱いもの』とは…
他の何物にも
代えられるものではなく
かつ、何かの例えでもなく…
それは
【熱いもの】
でしかないのだ!

従って…
こうなるべきだ!


たま男は
熱い体をひきずり玄関の扉を開ける。
今日は…
今年最高の真夏日になるだろうと
定食屋のテレビが告げていた。

白い太陽は地面を照りつけ
アスファルトからは
熱いものが揺らめいていた。
外気はかなり熱いものであり
陽にさらされる彼の身体も
数時間前から熱いものになっていた。

滴り落ちる熱いものも
体温調節の役割を果たすばかりか…
彼には熱いものに感じられた。
熱い疲労が溜まり
足取りも熱いものになる
というわけだ。

「おかえりなさい♪」

多摩子は
玄関先までやってきて
たま男を熱く迎えてくれる。

「今日は、相当熱いものだったでしょ?」

「ああ…
昼頃から急に熱いものになって
熱いものったらありゃしない!」

「でもあなた…
仕事には相当熱いものね♪」

「お前のために
熱いものを持って
仕事しているのさ♪」

「お疲れ様♪
今日の夕飯も熱いものだからね♪」

「おいおい…
こんなに熱いものだってのに
夕飯まで熱いものなのかい?」

「何言ってんのよ!
こういう熱いものの日には
熱いものを食べて…
心も身体も熱いものにして…
夜の熱いものも熱くなさいって
去年暑い日に亡くなった
熱い祖母が言ってたのよ…
もうご飯出来てるからね♪」

多摩子は
彼の熱い上着を受け取り
ぶ厚い熱くるしい着替えを持ってくる。

そういえば
多摩子と出会ったのも
かなり熱いものが立ち込める日だったし…
二人で熱いものを乗り越えて
こうやって熱いものを
築きあげているんだなと…
たま男は改めて
熱いものがこみ上げてきた。

たま男が熱いテーブルに座ると
多摩子は
熱いもので火傷をしないように
厚いなべつかみを用いて
熱いものである夕飯を
熱いテーブルに持ってきた。

もちろん
熱いもので焦げないように
テーブルには厚い鍋敷きが敷いてある。

ただ…テーブルも熱いので
思わず手をつくと大火傷は免れない。

「お、これは
相当熱いものだなw」

「そうよ♪
昼間から時間をかけて
やっとこうして
熱いものに仕立て上げたんだから♪
これはかなり熱いものなのよ♪」

「いつも、いつも…
熱いもの作ってくれてすまないね♪」

「あなたが
熱い家に帰ってきて熱いものを
感じられるようにしているからよ♪」

「多摩子…
俺は今…胸の奥から熱いものが
こみ上げてくるのを感じているよ!」

「私もよ…
何だか目頭から熱いものが
溢れてきそうだわ♪」



「あっついなぁ…夏!」








極〓たまこ〓暑