しょーか消火しょーゆー事か!


『どないすんねん…お前!
消防車なんか買うてしもうて?』

「ねぇ…」

『ねぇ…ちゃうのよ~
説明してくれやっ!』

「だからぁ〜
昼間…セールスの人が来てぇ…」

『何でやねんっ!
何で、一般の家庭に
消防車売りにくんねん?』

「あたしもね…
断ろうと思ったわよ!
でも、つい…」

『何で?
お前はあれか?
消防車を【つい】買う人か?』

「でもあなたも新しい車
欲しいって言ってたから…」

『新しい車って…消防車とちゃうわっ!
むしろお前の考えの方が新しいわっ!』

「セールスの人の
説得力があったのよ…」

『どんな説得やねん?
一般人が消防車欲しくなる説得りょ…』

「今夜、サンマだけど、いい?」

『ワシの話聞けやっ!
何で、消防車やねんて?』

「だって、カーナビ付いてんのよ!」

『余計なもんも付いてるやろがいっ!
ハシゴとか、ホースとか…』

「洗車するとき便利じゃない!
上からジャーって…」

『どんだけ豪快な、洗車や!
見た事ないわ、そんなアホ!』

「普通のカーナビじゃないのよっ!
声で教えてくれるの…」

『何をやねん!
何や、どこぞで火事か
教えてくれんのかっ?』

「違うのよ
【今、サイレンを鳴らしています!】
とかね…」

『分かるわっ!
わざわざ教えてくれなくても!
サイレン鳴ってりゃ!』

「さらに【今、消火中です!】とか…」

『消火中にどこのボケが
カーナビ聞いとんのじゃっ?
ああ、もうええ!
こんなもん詐欺やないかっ!
110番に電話や!』

「えっ?消防車なのに?」

『うまい事
言わんでえぇねんっ!
で、どんな奴やっ?』

「5階まで届くタイプの…」

『ほぅ!ビル火災も大丈夫やね…
ドアホ!ちゃうわっ!
売りにきた奴はどんな奴やっ?』

「えっ?
消防署の署長さんじゃないの?」

『何で、署長が
消防車セールスしてまわんねんっ?』

「消防署も経営が苦しくて…
火の車だからって…」

『山田くん、嫁に座蒲団三枚あげて!
かましいわっ!
だいたい、なんて言われたら
消防車を買いたくなったんや?』

「家が、火事の時…すぐ消せるって…」

『そのまんまやないかっ!
だいたい家の前に
あんなでかいの停められへんがなっ!』

「じゃ…ガレージ広げるとかっ?」

『消防車ありきで考えんなよっ!
だいた…クンクン…
なんか焦げ臭くないか?』


「いけないっ!
サンマ、火に…
かけっぱなしだったんだわっ!」


『お前…
ホンマどんくさいなっ!』




「消防車、消防車っと…」


『うんそうそう!
…ちゃうやろっ!
まずガスを切れやぁあぁあぁあっ!』





消〓たまこ〓火